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青蕎麦の和え物

2012年 9月12日 

 突然の事でまことに恐れ入りますが、お教えいただきたい事がございます。 何卒宜しくお願い申し上げます。

   江戸初期の禅僧の日記『隔蓂記』に料理の記録がございまして「青蕎麦の雑物」とか「青蕎麦の和物」という記事がございます。ここに記されました「青蕎麦」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

 宜しくご教授くださいますようお願い申し上げます。

  因みに『隔蓂記』に記された記事を記しておきます。「先鹿苑院太上天皇之前焼香、次開山前焼香、次本尊前焼香也。次等持院殿之小諷経、二度焼香、無三拜也。斎之衆八人也。斎作法、菜汁・青蕎麦之和物・煮昆布・中盛麩蒟蒻・突出・香物塩山椒也。ー以下略ー」とあります。青蕎麦の和え物とはいったいどのような料理なのでしょうか?

 答

 お尋ねの件ですが、 『隔蓂記』なる書物のこと始めて知りました。 結論から申し上げて『隔蓂記』において「青蕎麦」がどういう意味で使われていたのか判りません。

当ホームページで紹介した「そばもやしつなぎのそば」(青そば)についてですが、 あまりポピュラーなそばではありません。 そういう技法もあると言うことを紹介したものです。

ソバの若葉をすりつぶしたものを混ぜることで緑がかった新そばの様に見せるわけですが、 新そばが尊ばれるのは、江戸文化が成熟し, 庶民の間でも初物,新物がもてはやされる江戸の中期以降だと思います。 また新そばが緑がかっているなんてことは、 殻を丁寧に取り除いた製粉が一般的になった後だと思います。 江戸の中期までは、新そばよりヒネもののほうがマイルドで良いとか 新物なのにおいしいといった評価をしている、そば通がいます。 つまり、江戸前期にわざわざ新そばを模す必要性は低いと考えます。

青そばという言葉も、 「そばもやしつなぎそば」の流れを汲むそば屋や地域では、 現在はクロレラや天然色素を使って緑色のそばを出す所があます。 (余談ですが、そばに人工色素を使うことは禁止されています。) 緑色のそばが伝統となっている地域や店があるわけです。 そういったそばを一部の人たちの間で 青そばの伝統を引くそばとか言った使い方をしているだけです。

ということで、私には17世紀の京都で、 「そばもやしつなぎのそば」を打っていたとは考えにくいのですが。 もちろん、何らかの趣向で緑色のそばを打つことはあったかもしれません。 緑色のそばを打つこと自体はさほど難しいものではありませんし、 和菓子の伝統もある京都なら造作もないことだと思います。 当時の京都に、あるいはお尋ねのお斎に わざわざ緑色のそばを出す意味があるかどうかまではわかりません。 技術的には可能だと思われますが,その技術を使う動機が判りません。

あくまでも想像ですが、 17世紀頃はそばといえば、そばがきのほうが主流で、 麺状にしたものは、そばきりと呼称するのが一般的のようです。 『隔?記』に他に「そばきり」の表記があれば、 「青蕎麦」は麺状のそばではない可能性が高いです。

 和え物にするとすれば、 ソバの間引き菜、そばもやし(ソバの芽)のことではないかと思います。 麦の若葉を今でも青麦といいますし、ソバの若葉のことではないでしょうか。 「そばもやし」は江戸時代からあったようで、 北陸や東北地方では昔から冬の野菜として重宝していたそうで、 不味公も秋の茶席に使ったそうです。 不味公の時代にはソバの芽をそばもやしと呼ぶのは一般的だったようです。 ただ、不味公より150年も前にあったかどうか、 それを青蕎麦と呼んでいたかは、わかりません。 お役に立てず申し訳ありません。

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